SHIBAHAMAシバハマ

SHIBAHAMAシバハマ

Outline

FAIFAI meets『芝浜』
本作は日本の古典落語『芝浜』を題材にしている。『芝浜』はおよそ200年前の幕末期に生まれ、その内容は夫婦の愛情を暖かく描いた、古典落語の中でも屈指の人情噺として知られる。

あらすじ
酒ばかり飲んでちっとも働かない魚屋の男(くまちゃん)が海で大金の入った財布をひろい、喜んで家に帰り早速どんちゃん騒ぎをしたあげく寝てしまう。しかし次の日に女房(なみちゃん)にそれは夢だといわれ昨日の借金だけが残ってしまい一度は心中をしようとするが、女房に諭されて心機一転、酒を絶って真面目に働きだす。三年働いた大晦日、女房が実はあの時の財布がここにあると取り出してくる。三年前、あまりの大金に怖くなった女房は警察に届けたが、持ち主不明で払い下げになったのだという。男は 最初は怒りを抱いたものの、最後には行動に感謝して、二人で久しぶりに酒でも飲もうとするが、杯に口を付ける寸前で男が言う。「よそう、また夢になるといけねえ。」
2010年6月初演時、快快版の『SHIBAHAMA』はここから“ループ”“トリップ”“ラッキー”という3つのキーワードを抽出し、演劇作品として大胆にリメイク。構成を大きく三部にわけて上演した。

劇「芝浜」の3部構成はカジノで非常に人気があり、どのカジノでも聞くことができるのはこの構成です。 この作品は、(1)リプレイ、(2)イベント、(3)再構築の3つの部分で構成されており、ラッキーニッキーカジノの雰囲気に非常に調和してフィットし、訪問者がゲームに集中して大金を獲得するのに役立ちます。 時間と場所に反応するスクリプト「SHIBAHAMA」は、パフォーマンスごとに更新されるため、この構成はカジノの訪問者を煩わせることはありません。

『芝浜』を遊び尽くす3部構成

本作は(1)再生、(2)イベント、(3)再構築、の三部構成になっている。

(1)再生部は、あらかじめ録音された『芝浜』に登場する台詞をiPhoneやWiiリモコン、舞台上に設置された無数のスイッチをパフォーマーが押すことによって遠隔で再生し音楽的に重ねていく。「ねえねえ、くまちゃん起きて」「よそう、また夢になるといけねえ」という冒頭とサゲ(オチ)のほか、ストーリーを象徴するいくつかの言葉が機械的なダンスとともに奏でられ、同時に四方の壁面や天井に設置された巨大スクリーンに映し出された映像もリズミカルに変化。会場に散らばったおもちゃや電飾、送風機をも操作され、空間全体が賑やかに動き回り『芝浜』の台詞に呼応しながら、新しい『SHIBAHAMA』への土台を作り上げる。

(2)イベント部は体感型のイベント形式で進行される。例えば、主人公の男が大金をつかんだ設定から、観客から有志を募りじゃんけん大会を開催。勝者には賞金を贈与し、会場に設置されたキャバクラブースで本物のキャバ嬢による接客を受けてもらうなど、(1)で再生された物語にそってプログラムが組まれる。他にも会場から主人公の職場である市場までの距離を自転車で走るパフォーマーの登場や、日替わりゲスト(ミュージシャン、アイドル、演出家、ラジオパーソナリティなど)を招き、自堕落で仕事をしない主人公になぞらえてパフォーマンスをしてもらうなど。毎日かわる演目とスリリングな展開で『芝浜』を体感し、観客を巻き込みながら新たな『SHIBAHAMA』の世界へトリップしていく。

(3)再構築部は、“フィールドワーク”の名の下にメンバーが体験した『芝浜』的なエピソード (ギャンブルで勝つ、どんちゃん騒ぎをするなど) を語りだすことから始まり、舞台上は一気に現代版『芝浜』の様を呈してくる。しかし、物語は(1)の再生装置や(2)で観客が体感した事象を盛り込みつつ、進行してはあらぬ場面へトリップし破綻しかけてはループするなど、悪夢的に加速していき、快快版【MAD】SHIBAHAMAがその輪郭を軋ませながら再構築されていく。まばゆいまでに覚醒された物語のラストは、「ねえねえくまちゃん」「よそう、また夢になるといけねえ」の二言に再び収束していき、三部すべてひっくるめて一晩の夢のようなフィクションがあっけなく終わりを告げる。
「おあとがよろしいようで!」

時と場所に呼応した「SHIBAHAMA」
本作はその上演ごとに脚本が更新されていく。それは上演する土地で新たにフィールドワークを行っていき、3部の「再構築部」にその内容を盛り込んでいくからである。フィールドワークはその土地の歴史や文化、国民性を理解した上でその根底に流れている「ダメ」な部分を見つけいていこうとする狙いがある。
語られる内容は一見すると“おふざけ”のようにも捉えられがちだが、メンバーそれぞれの個人的事情や社会的情勢、歴史的背景が三つ巴のように重なって、見るものの胸に爪痕を残していく。やがて、それが物語として昇華されてゆく様は、幕末の混乱期に「芝浜」が誕生した、その瞬間に近いものがあったのではないかと想像せざるを得ない。

人間の“原罪”を愛する作品
(演出家のコメント抜粋)
快快なりに古典落語『芝浜』から見いだしたのは、遺伝子レベルで刻まれている、いわば“原罪”のような人間のダメな部分が、ときたま、たまらなく愛おしくなる瞬間がある、という事だ。ただ単に海外にもっていきたいというよりも、せっかく行くのだったらもっと深いところでその国のダメな部分の手触りを感じてその土地を愛せたら、また逆に、海外の観客に200年前の日本のダメ人間を愛してもらえたら、その時こそがSHIBAHAMAの完成する瞬間である。
快快ディレクター 篠田千明

Information

Cast

2010年
初演クレジット
@東京芸術劇場

演出:篠田千明
脚本:北川陽子
出演:
天野史朗 大道寺梨乃 加藤和也 千田英史(Rotten Romance) 中林舞 野上絹代 山崎皓司 北川陽子 篠田千明 佐々木文美 藤谷香子
舞台監督:佐藤恵
技術監督:遠藤豊(ルフトツーク)
美 術:佐々木文美
照明:上田剛
音響:星野大輔
衣装:藤谷香子
映像:天野史朗 
海外ツアーチーフ:Olga Nagy
宣伝美術:cochae
制作:河村美帆香
制作協力:小山与枝乃
協力:Budapest kitchen
提携:
芸劇が注目する才能たち、「芸劇eyes」
東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
助成:
財団法人セゾン文化財団
社団法人企業メセナ協議会
企画制作、主催:快快

Guest:
百人切り(悪魔のしるし)/かいき♡幻SHOWズ/岩井秀人(ハイバイ)/ナジュ・オルガ(faifai海外担当・パフォーマー)/ウィンドアンドウィンドウズ/内田慈/郷 拓郎(detune)/多田淳之介(東京デスロック)/かずひろ(faifaiセキュリティー担当)/フルーツ☆パンチ/白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)/ニーハオ/高須賀千江子(輝く未来)/嫁入りランド/core of bells/秋葉原ディアステージ/平原テツ(ハイバイ)/野上絹代、三月(faifaiメンバーとその第一子)

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