アントン、猫、クリANTON-NEKO-KURI

アントン、猫、クリANTON-NEKO-KURI

Outline

What’s 「アントン、猫、クリ」
本作は2009年4月、こまばアゴラ劇場で1982年生まれ(キレる14才といわれた世代)の劇作家や演出家6人が企画・開催した演劇イベント『キレなかった14才♥りたーんず』、そのイベント内で主催者である快快/篠田千明が作・演出し、上演されたのが「アントン、猫、クリ」の初演にあたる。
物語は演出家の体験をもとに、実在した白血病の野良猫“アントン”とその猫をめぐるご近所の交流を描いている。題材としてはどこにでも転がっていそうな本作だが、作者の実体験であるということや快快とは違った篠田独自の儚げな世界観が好評を博す。
2010年10月、新たに快快バージョンとしてリマスター上演した本作は音楽的な演出法に加え、上演形態でも大反響を呼んだ。

あらすじ
大田区のアパートの101号室に住む女と201号室に住む男。二人は特に付き合いもなくすごしていたが、ひょんなことから挨拶を交わすようになる。そして、そんな二人の前に現れた野良猫の「アントン」。
アントンはご近所では有名な野良猫で、彼を介して近隣住民の交流が広がっていく。しかし、アントンは白血病のため余命幾ばくもないのであった。
野良猫を守ろうとする者と嫌う者とが入り交じり、アントンを取り巻く環境は鮮やかに活気付き、にわかに波乱の色を帯びてくる。

快快初の“ポリフォニー劇”
2010年「アントン、猫、クリ」は快快の持ち味でもあるPOPな映像や落書きのような身体性とともに、作曲家として活躍する安野太郎氏を制作の中心人物の一人として迎え“ポリフォニック”に生まれ変わった。ポリフォニー(polyphony)とは、複数の異なる動きの声部(パート)が協和しあって進行する音楽のことである。
本作は役者の発する台詞を音楽として捉え、言葉の重なりやそのズレから生じる新たな情報によって、実在する情景や意識の細やかな可視化を試みた初の“ポリフォニー劇”である。

コメンタリー付き上演
本作は【本編上演】+【コメンタリー付き上演】の二部構成になっている。
第二部の【コメンタリー付き上演】では毎回アーティストや批評家、演劇人など様々な分野で活躍しているゲストを招き、実際に演者が本編を再上演している中で演出家とトークをする。
ゲストによって内容は異なるが、一時停止、一部分の繰り返し、また、早送りなどゲストや観客の見たい部分の再演をしながらのトークを予定している。
「演劇の稽古場における新しいものを発見した瞬間のドキドキを観客とも共有できれば」という思いから生まれたこの上演形態は2010年の公演時に大きな反響を呼んだ。

Information

Cast

2012年
再演クレジット
@nitehi works

作・演出:篠田千明
出演:捩子ぴじん 大道寺梨乃 野上絹代 山崎皓司
音楽:安野太郎
舞台監督:遠藤豊
舞台装置:佐々木文美
照明:上田剛
映像:細金卓也, 佐々木文美
音響:星野大輔
衣裳:藤谷香子
“ふぁいくん”デザイン:しんぽうなおこ
宣伝美術:dantoyoh
写真:加藤和也
制作:河村美帆香,大道寺梨乃

Talk guest:
神里雄大(岡崎藝術座 主宰・劇作家・作家)+大谷能生(音楽家・批評家)、木村覚(美学研究者・ダンス批評)、佐々木敦(HEADZ代表・評論家)
小沢剛(アーティスト)+安野太郎(音楽家)
桜井圭介(コンポーザー・ダンス批評)+藤城里香(無人島プロダクション 代表)+藤原撤平(建築家)
カワムラアツノリ(振付家・ダンサー)+中村真生(俳優・青年団)+野村政之(こまばアゴラ劇場・青年団制作)
五所純子(文筆業)、毛利悠子(アーティスト)、吉田アミ(前衛家・文筆家・音楽家)
スプツニ子(アーティスト)+喪服ちゃん(モエ・ジャパン社長)

Technical Rider

Performance

Works